SFのファンで、クリストファー・ノーランの映画が大好きです。

昨年公開された『インターステラー』は、公開時に劇場で鑑賞し、先日また別の劇場で35mmフィルム版が上映されたのを観に行ってきました。ノーラン好きになったきっかけとなった映画が、2010年公開の『インセプション』です。とにかく設定にしびれました。

他人の夢(潜在意識)に忍び込んで「アイデア」を盗む産業スパイのコブ(レオナルド・ディカプリオ)率いるチームが、日本人の大企業を経営するサイト-(渡辺謙)の依頼を受け、盗むのとは逆に、ライバル社の後継者の潜在意識に「会社の解体」というアイデアを「植え付ける」物語。

ディカプリオたちは、鎮静剤を使ってターゲットを眠らせ、自分たちも鎮静剤によって眠ることで潜在意識に潜り込み、夢の中でミッションを繰り広げます。
夢の中でさらに夢を見ることも可能、物語の進展とともに彼らは潜在意識の深みにはまり込んでいきます。

おもしろいのは、登場人物たちが夢から醒める方法。
起きて見張りをしている仲間が、特定のタイミングでコブたちを「落とす」ことで強制的に目を覚まさせます。
つまり、平衡感覚に強い刺激を与えます。

これを見ていてふと思い出しました。
そう、意識はなくても、平衡感覚は24時間作動しています。
耳の奥の奥、内耳にある装置が常に体の傾きや動きをモニターしています。

立つことも歩くことも、生まれてから死ぬまで、生活のあらゆる動作がこの平衡感覚によって正しくバランスを取ることを前提としています。寝ているときも、体は「横たわっている」という情報を受け取っています。
そして情報を受け取った体は、反射的に体の向きを調節しています。
つまり、平衡感覚に関しては「考える」余地などありません。

この平衡感覚の不調が、めまいなどの症状として現れてきます。
突然の平衡感覚の乱れは、まさに夢から覚めるほどの衝撃を人に与えます。
これが日常的に起これば、当然その負担もとてつもなく大きい。

このようなめまいの患者さんも日々治療しています。
反応点治療では、耳周辺の「内耳点」に鍼を打ち、ローラーをかけ、自宅でのケアも指導します。
平衡感覚をつかさどる半規管などはリンパ液で満たされており、鍼刺激がこのリンパの循環を改善させると考えられます。

睡眠中時々突然「ガクッ」と高い所から落ちたような感じが起こるのも、平衡感覚の誤作動なのではないでしょうか。

映画に夢中になっているときでも、こんなことばかり気になります。