当院で治療を受けたことのあるかたはお気づきだと思いますが、治療の際にはおヘソの近くに浅く鍼を打ちます。

これは、腸を始めとする内蔵へ刺激を送ることを念頭に置いたものです。

おヘソというのは体表の中でもとりわけ目立つ存在で、腹直筋という筋肉の間にはまり込んでいます。皮下脂肪がなく、そのまま腹膜に接しています。

腹膜というのは人間の内蔵の表面を覆っている膜で、体内に無数に存在する臓器がバラバラに散らばってしまわないように固定する働きをしています。

また、たくさんの血管や神経が走っていて、内臓への連絡路としても働いています。そのため、この腹膜に近いおヘソ付近への刺激は、内蔵への効率の良いアプローチとなると考えられます。

ヘソのゴマを取るとお腹が痛くなると言われていますが、これはおそらく真下にある腹膜に過剰な刺激を与えてしまうことで、腹痛を引き起こすのでしょう。

刺激、というと何やら痛いことをするのかな?と思うかもしれませんが、適度な刺激、心地良い刺激は気持ちを落ち着かせ、体が正常な状態に戻る助けとなります。

当院では、鍼はもちろんですが、お灸によっておヘソ付近を中心に、ぽかぽかと温める治療も行っています。

内臓から送られた信号は、神経を通して皮膚の上に現れてきますので、お腹に触れることで、その状態をある程度見極めることができます。

そのため、腰痛などで来院し、特にお腹の症状を訴えていなくてもお腹を見せて頂くことがあります。ご本人が気づいていないレベルの不調を早めに見つけ出し、気づかないうちに元に戻しておくためなのです。

辛いと感じている症状はもちろん消しますが、これから問題になってきそうな部分、すなわち「未病」も解決する、鍼灸の価値とはそこにあります。