いま、『触楽入門—はじめて世界に触れるときのように』 (仲谷正史 他,朝日出版社)という本を読んでいます。

「触れる」ってどういうことだろう?という、シンプルかつわからないことだらけの疑問について、最前線にいる若手研究者が一般向けにわかりやすく解説してくれています。

何しろ、毎日人の体に触れる仕事をしていますので、ヒトの「感覚」について書かれた本はつい買ってしまいます。

まだ読み終わっていませんが、このような記述があって驚きました。

「ごわごわした軍手をつけてモノに触ると、触感がにぶくなってしまうような気がしませんか。しかし実は、目で見ても認識できないような表面の凹凸は、軍手をしていたほうがわかりやすくなることが知られています」(p33)

ぶったまげました。

しかも、「熟練した職人が手で自動車のボディの歪みの最終検査をするとき、軍手をはめて行う」(p33)とまで書かれているではありませんか。自動車業界では常識なのでしょうか。

素手の方がどう考えても鋭敏になると思ってしまいますよね?でも、それは思い込みだったようです。

軍手で一般的な「メリヤス編み」が触感を増幅してくれるということです。てこのような作用があるのかもしれません。

このしくみを利用して、素手ではほとんど感じられない数ミクロンの凹凸を感知するための「触覚コンタクトレンズ」なるものまで開発されています。(リンク先)

 

私たち鍼灸師が手でみているのは単なる凹凸ではありませんが、例えばこの触覚コンタクトレンズを使って触診などできるものなのでしょうか?

「触れる」そして「触れられる」この触覚はまだまだわからないことばかりで、これからの研究の進展が楽しみで仕方ありません。鍼灸が効くメカニズムも、どんどん解明されていくことでしょう。

とりあえず、ある日急に私が軍手をはめて治療をしはじめたら、「ああ、あれね…」と思ってください。