鍼は効く、ということは2000年前からわかっていたようですが、「なぜ効くのか」がわかってきたのは、神経生理学や生化学などが発展してきた比較的最近のことです。

 

それまでは、そしていまでも、経絡や気といった概念によって、その作用が理解されてきました。

ただ、それには問題もあって、誰も「経絡」や「気」というものを取り出して見ることができません。

 

断っておきたいのですが、私はその存在を否定するものではありません。

わかる人には確かに「ある」ものなのだろうと思います。ただ、その存在が本当の意味で「実証」されるにはまだまだ歳月が必要だろうと考えています。

 

私たちの治療院では、鍼が効く仕組みを人間の生理学的なメカニズムで理解し、患者さんに説明しています。

 

一般の病院とは違い、鍼灸治療院の不思議な部分は、治療家たちの考え方が個々で大きく隔たっているということです。外から見れば同じように鍼を打っています。しかし、その時治療家が何を見、何を考えて治療しているのかは、まったく異なっているのです。

 

必ずしも

 

実際に治っている=考え方が正しい

 

ということにもなりません。

例えば、風邪を引いたときにオレンジジュースを飲んで、次の日に治ったからといって、オレンジジュースが風邪の特効薬であるとは言えない、ということと似ています。

 

しかし、臨床の場では患者さんが実際に治っているということを物差しにするしかありません。学問的な真理とは少し次元が異なるところにあるのかもしれません。

 

ただ、私には臨床で「治っている」ことのみを是とするのではなく、「ではどういう仕組みで治るのか」を知りたいという「渇望」があります。そのため、最近では鍼治療の有効性を検証した海外の研究結果を多く読み、紹介するようにしています。

 

もちろん、すべてを鵜呑みにすることはできませんが、根拠なく自分で勝手に想像するのに比べれば、その信頼性ははるかに高いと考えられるからです。そして、このような研究結果に基づいているいることを示せば、患者さんも安心して治療を受けてくださるはずです。

 

私は、このようなことを考えて治療しています。

 

ですから、鍼灸治療を受けようと考えている方は、その治療院の鍼灸師がどういった考えで治療を行っているのかを尋ねてみるのがいいのではないでしょうか。