「鍼灸ってなぜ効くの?」
これに対する完全な答えはいまだ明らかになってはいません。

「ツボ」とは何なのか、「経絡」とは何なのか、わかっていないことがあまりにも多いのです。
特定の部位に鍼を打って、お灸をして、皮膚を刺激すると、体が治癒に向かう、という現象が起こっていること自体は否定できませんが、それがどういった仕組みで働いているのかは解明されていません。
それでも、「体にこのような刺激を与えると神経はこう反応する」ということはある程度わかっていますから、仕組みのすべてがわからなくても、病気、ケガに苦しむ患者さんの治療をすることができます。

でも、それに安住してしまって「治っているからこれでいいのだ」を永遠に続けていくことは何だか寂しいような気がします。少なくとも、私はこれから数十年にわたって同じことばかりを続けていくことは耐えられない。

かといって、実験や研究をするための壮大な設備も、時間も費用もありません。
しかし、世界にはこのような鍼の仕組み、皮膚と内臓の関係について研究を行っている人がたくさんいて、日夜論文が発表されています。

臨床家として、この基礎研究の成果を利用しない手はありません。
自分の経験、先人の経験に学ぶことはもちろん必要ですが、より客観的で信頼度の高い方法で検証されれば、それだけ効果の高い治療を提供することができます。

そういった動機があり、昨年終わり頃から研究論文の抄読会を開き、仲間の鍼灸師と勉強しています。
まだまだ模索が続きますが、英語の論文にも少しずつ慣れてきました。
良い治療を提供できるようになって、自分自身も新たな発見に驚くことができれば、こんなに楽しいことはないと思っています。

─神戸元町・花隈の南天はり灸治療院― 
http://nanten-acu.net/