難聴は非常に治りにくい病気とされていますが、当院ではこういった患者さんの治療も行なっています。

どうして難聴が起こるのか、少し整理して考えてみましょう。

耳はは3つの部位に分かれています。

1.耳の穴から鼓膜までの「外耳」

2.鼓膜から前庭(ぜんてい)までの「中耳」

3.前庭、蝸牛(かぎゅう)のある「内耳」

耳が聞こえにくくなる、ということは、このいずれかの部位に障害が起こることです。

外耳は外部に露出していますから、よほどのことがない限り、ここが難聴の原因となることはありません。

問題は、中耳より内側です。
鼓膜に閉ざされており、耳は人体の中でも最も細かな器官がたくさん集まった部位なので、覗き見ることは実に難しい場所なのです。大がかりな検査をしても、原因は見つからなかったということは当たり前のように起きています。

まず、中耳です。
中耳炎という言葉は聞いたことがあるでしょう。炎症、つまり腫れが起こるとどうでしょうか。
鼓膜が分厚くなって震動しにくくなってしまったり、耳小骨という、震動を伝えるための人体で最も小さな骨を支える組織の形が変わり、正常に音を伝えなくなってしまいます。

次に、内耳を考えてみましょう。
空気で満たされて、耳小骨が震動を伝える中耳とは異なり、内耳は、頭の骨の中に埋め込まれ、リンパという液体で満たされています。

「水が入っているの?」と意外に思われるかもしれません。
ここでは、内耳で耳小骨によって増幅された震動を、電気信号に変換して、脳に送っています。

再び炎症を考えてみます。リンパ管が腫れたり、リンパ液の粘りが強くなると、音が聞き取りづらくなります。

また、耳はのどとも繋がっています。
トンネルや飛行機で、キーンとなるのは、内耳と外気の気圧差が生じているからです。あくびをして、耳とのどを通じる耳管を開いてやることで、圧力が等しくなれば異音は収まります。

耳管はもともと非常に細いので、ここも炎症などによって狭くなってしまうと、気圧差が生まれ、鼓膜が震動しにくくなってしまいます。

風邪を引いたとき、何か音がこもって聞こえにくくなったような経験はありませんか。
これは、風邪による炎症によって耳管が狭くなってしまっているからです。

そして、耳管はのどに通じているので、もちろん菌も入り込みやすく、炎症が起こりやすい部位なのです。

ご覧のとおり、難聴にアプローチする際にも、「炎症」というポイントがかなり重要になってきます。

「年だから仕方ない」では決してないと考えています。

耳も口も鼻も、外部に接しているという点では、等しく菌の影響を受けやすい部位であるといえます。

そして、はり灸は炎症を鎮めることを得意としますし、耳に問題のある場合、顔や頭の皮膚にはそうした反応がきっちりと現れていますので、私たちはそれを読み取って施術しています。

難聴でも治療効果を発揮しているのは、このような点で耳の機能を正常に戻そうとするはたらきによるものだと考えられるのです。