いま練習に参加させてもらっている武術の道場では、とにかく「脱力」が大事だと教えられています。

武術というのはとにかく筋肉を鍛え、真っ赤な顔で汗かきながら全力で「フン!フン!」と突きや蹴りを繰り出しているイメージがありますが、そうではありません。

筋肉を意図して動かそうとすると、スピードが出ません。
腕を回すときに、肩から指先まで思い切り力を入れて振り回しても、スピードは出ません。
反対に、肩だけを回すイメージで、ムチのように腕を動きに任せると、少ない力でスピードを出すことができます。

これはあらゆる動きにもいえることで、意図して力を入れて「作り出した」動きはどこかに無理や歪みが生じて、ムダを生んでしまいます。
結果的に隙を生んで敵に付け入れられたり、技が効果的に決まらなかったり、自分の体にしわ寄せがきて痛みが出たりと、百害あって一利なしになるわけです。

一切の力を抜けば、人は立っていることもできなくなりますが、筋肉を極力使わずに、必要最小限にとどめることこそが大切です。

これを、わたしの先生は比喩的に「骨を動かす」と表現しています。

わたしは最近、患者さんの治療をするとき、そして日常生活のあらゆる場面で、自分の体にどのくらい力が入っているかを細かくチェックするようにしています。

すると、自分の体はいともたやすく緊張してしまうということに気がつきます。
ちょっと気合を入れて文章を書いているとき(今もそう)、患者さんに「しっかり説明しなきゃ」と気負っているとき、「10年後はどうなっているのだろう」と不安がよぎるときなど、筋肉は細かな感情の動きに実に敏感に反応して、固くなってしまいます。

そのたびに呼吸を整えて、体をニュートラルに戻すようにしています。

痛みの症状に悩まされる方は、自分では体をニュートラルに戻すことができなくなっています。

だから、鍼などを使って人為的に介入することで、緊張を強制解除するわけです。

解除状態が「ふつう」になり、体がそれを思い出していくと、慢性のつらさも消えていく、というわけです。

 

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