本当に鍼のこと、体のことがわかっている鍼灸師とは謙虚なものだと思います。

「俺が治してやる!」

とか

「俺のワザが最高の技術!」

とか、言いません(思っているかもしれませんが)。

わたしは運がいい人間で、素晴らしい技術を持つ鍼灸師と交流する機会を得ることができました。最近も勉強会などで、そういった方々に教えてもらう機会に恵まれています。

本当にすごい人たちばかりなのですが、ぱっと見は普通です。

別にすごいオーラなんか出てません。

知識を誇るようなことも、ありません。

でもすごいんです。初対面でもそれがわかる。

パッとツボを取ったその手つきが正確そのもの。力加減が絶妙そのもの。

その人の手が、その人のすべてを物語ってくれる。

「すごいオーラ」は出ていませんが、その話し方、物腰、立ち居振る舞いを見ていると、「この人になら体を任せたい」という気になります。

患者の体が変化していく未来までありありと見通している、そんな人たちです。

だから別に偉ぶらなくても患者さんはついてくるし、同業の鍼灸師からも尊敬されています。

そういう人たちは、鍼灸の技を、自分が偉くなるための手段、金儲けのためのツールとしてみていません(金儲けも大事ですけどね)。

鍼灸の技術にしても、本当に再現性のあるものは誰にでもできるものなので(それを「科学」という)、己の技術を誇るよりも、人間の体、ツボのすごさの方をリスペクトしています。

鍼灸と体が見せてくれる、奇跡のような現象、人間の不思議さに魅せられてしまっている、心から楽しんでいる。

その不思議さ、楽しさが見えてしまった人にとって「カリスマ」とか「ゴッドハンド」とかはどうでもいいのです。

いつまでも、鍼灸と人間の体が見せてくれる「三昧」の境地でただただ遊んでいたいのです。

わたしも最近、そのような世界を少しだけ垣間見ることができました。

これからますます、鍼灸が好きになれそうな予感がして、本当に鍼灸師になってよかったなと思っています。